流行予知に関する一考察 2

 当ブログでは、これまで曖昧な感覚にたよっていたファッションの科学的定義を試みる。ファッション業界には、科学やら定義などというと拒絶反応を示す者が多くいる。だが、成長がとまり構造的不況に陥ったファッション業界では、感覚にたよる従来のやりかたでは生き残ることさえ難しくなっている。そこで私は、科学的思考のできる、より文明的で知性的な人材を育てる必要があると考え、研究内容を公表することにした。

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ファッション(流行)とは社会現象である。そして社会現象とは、人間の外に起こる現象である。
人間の外に起こる現象としては、他に自然現象がある。自然現象は人間が関与しなくても成立するが、社会現象は人の関わりなくして成立しない。
そして、この世に人間が一人しか存在しない状況、あるいは、複数の場合であっても相互干渉がまったくできない状況のもとでは、やはりそれは成立しない。
そこで社会現象とは、「情報の共有と相互干渉から生じる行動様式」と捉えることができる。

 今日、私達はとても変化に満ちた生活を経験している。
流行の衣服を身にまとい、流行の音楽を口ずさみ、最新のできごとは音声・文字・画像を通じ、距離を飛びこえて伝達される。
我々はそこに、情報を同時期に受けとることから生じる価値観のシンクロや、それに触発されて起こる行動の一様化を見ることができる。
そこで、ファッション(流行と称される社会現象)とは「情報の共有を起因とする価値観と行動の一様化現象」と定義することができる。

 あらゆる市場の栄枯盛衰は消費者の嗜好の変化(価値観の一様化)が根源なのであり、それに沿わない商品や企業は、たちどころに破産へと追い込まれ消滅点を迎えることになる。
このように、消費者の嗜好の変化が、あらゆる市場に拡大と縮小の機会を均等に与え、時代の歯車をまわしている。

つづく