目を合わせない販売員

 その店には客と目をあわせようとしない販売員達がいた。
私が目をあわせようとすると、それを避けるかのように他の販売員と会話を始める。
あたりを見まわしてみると、30人程いるであろうその売り場すべての販売員が、客を無視しておしゃべりに夢中だ。

 私には、接客に不慣れな新人が客と目を合わせるのが怖くて仲間との会話で誤魔化しているかのようにみえた。それにしてもフロアー全体でそれが繰り広げられている様はスゴイ。
ルミネのVMDや接客の素晴らしさを経験した直後だったので、あまりの落差に驚きを通り越してあきれてしまった。

 ここはファッションのメッカ、東京。しかもその東京のど真ん中の新宿なのだ。しかも世界のファッションの最先端と称される店でもある。そんなことを、いとも簡単に忘れさせてくれる居心地の悪さがあった。

 この感覚は以前にも経験したことがある。それは香港の中国百貨店でのことだ。そこでは、やはり客と目を合わせることなく、挨拶もしない。客と店とは冷たく断絶されていた。



 この店は行くたびに悪くなっているような気がする。次回が楽しみなような、怖いような・・・